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2023.04.03

地域×デザイン「地域とデザイナーの関わり方」ワークショップにて地元カンパニー代表 児玉光史さんにゲスト参加いただきました。

GRAND DESIGNさんで行われた若手社員向けのワークショップを行なった際に、地域事業者ゲストとして参加いただいた地元カンパニー児玉さんとの対話の内容を記事にまとめました。ワークショップ参加者にとって、デザイナー目線だけでなくその時、経営者はどういった考えを持って協業に取り組んだのか。双方の話を聞くことで個々に気づきがあるのではないかと思い児玉さんにお声がけしました。2018年に弊社とイラストレーター里見さんで関わらせていただいた「2つのキービジュアルとその展開」について、数年を経ていかに事業に寄与できたのか。私が質問をしていく形で行いました。

Q.(上田)最初に2018〜2023の事業拡大の変遷をお聞かせください。

A.(児玉さん)コロナ渦で、飲み会やイベントの需要が縮小し、その代わりにギフト需要が大きくなった流れが弊社としては追い風となりました。環境や手段が変わっても、人との関係性やつながりは人にとって不可欠な営みということでしょうか。一気にオフィスや採用を増やし、非常にバタバタした期間もありましたが、今はその頃を思うと、ある程度うまく回っている状態と言えます。

Q. 2018年に開発させていただいた調査隊や産品マップは事業拡大に寄与できたのでしょうか?

A.今までDMだけだった事業イメージがひと目でわかるようになった産品地図開発は効果が大きかった感じています。企業タイアップ時も事業のシンボルがあることで、やりとりがしやすくなりました。調査隊は、まだまだ使い切れていないと感じていますが、横に歩くシンボル性はDM展開時などで何かと汎用性があり助かっています。調査隊を模したシンボルなのでインナーモチベーションや、事業理解促進に向けてもっと活用することが今後の課題でしょうか。

Q.社内インハウスデザイナーと外部クリエーター起用時の期待と留意点は?

A.社内だと、すぐに試したり形にできますが、社長の意見が色濃く出過ぎてしまうところがあります。外部の人は、予算やスケジュールなど気を付けながら、客観的にリードしたりアウトプットしてもらえることに価値を感じていますね。外部の方はまた普段から様々な事業に触れられているので、偏りが少なく相対的な立ち位置から提案してもらえるのも外部ならではの良さだと感じます。

Q.ストーリーやデザインがこれから経営や事業にどう貢献できると感じられますか?

A.まだ手探りでよくわからないのが正直なところ。言葉で説明してもわかりにくいことをデザインで瞬時に理解させられる力は感じるので、そこをもっと広げて活用していきたいと思います。農家や産品のストーリーはウチだけの強みとして大事に考えています。そこをデザインで表現できていることは大事な資産ですね。

Q. 社会実装に向けて、今後成し遂げたいことは何でしょうか?

A. デジタルも必要ですし、新しいテクノロジーは前向きに導入していきたいですが、これまでの紙のDMでしか伝わらない手にとっていただく良さも感じています。届ける相手により両方の良さを補完し合うような形で拡大していくことにつなげたいと考えています。もっと大義的なことでお話しますと「待てる社会」の実現に向けて活動していきたい。事業は安定し始めた頃に、モヤモヤしていた時期もありましたが、この事業を通じて、気づけた大きな自分の拠り所。例えば、ある人が苦しい状況にあったとしてもギフトを注文して「りんごが届く旬を楽しみに待つ」ことができるのは、豊かなことではないでしょうか。そういった「待つこと」を前提にしたマインドの人が増えると、案外日本の幸福度が上がるのではないかと感じています。DX(デジタルトランスフォーメーション)でなく、JX(ジモトトランスフォーメーション)を長野を皮切りに都会に、実装していけるような影響力のある事業展開を実現するのが今のビジョンですね。

Q. (GRANDさん)どうやってご自身のお考えを社員さんに伝えていますか?

A. 漫画が描ける社員がいて、一時期そこで、私の人間性そのものを漫画にしてもらいました。面白いと感じてもらえたら、やり方は何でも良いかと思っています。あとは、上田さんたちに事業コンセプトを文章でまとめてもらったものをHPなどで活用したりしています。何度も伝え続けることが重要な考え方だと思いますね。

Q. (GRANDさん)デザイナーは何名いらっしゃいますか?

A. ウチはデザインだけをやってもらう機会はむしろ少なくて、発送のサポートや、生産者さんとのやりとりの業務と兼任が多いですね。事業自体に興味を持っていてくれることが大事になります。ある程度トライアンドエラーを重ねながら、外部デザイナーと社内デザイナーの特性を見極めて、それぞれのよさを引き出すスキルが経営者に求められているかもしれません。

Q.(GRANDさん) I/Uターンは何割くらいいらっしゃいますか?

A. 全員が都心部からのUターンですね。だから、地元企業からは変わった人たちだと見られていると思います。笑。良い意味で、競合にならないので、そう思われているくらいがちょうど良いのかもしれません。

参加者の質疑応答や感想など活発で、児玉さんの経営者としての事業構想やロマンの大きさ感じる時間となりました。「待てる社会」という、皆が忘れかけていた共感できる大きな気づきを共有いただけたのは、参加者にとって新たな物差しを得る貴重な機会となったと感じます。

「デザイナーとしての関わり方」の気づき

1. 成果物を納めて終了ではなく、運用して初めて見えてくるギャップを修正するところまでデザイナーがコミットする意思を持つことが、クライントの事業にとってまた信頼関係を保つためにも重要

2.目の前の課題の解決策を提示することはもちろん、経営者がその先に一体どういったビジョンを描いているのかに、いつも心を配ること

3.インハウスデザイナーがいる中での、外部のデザイナーへの期待値と自分の活動意義をもっと初期段階から意識して業務に向かうことの大切さ

などを改めて皆で考える機会になりました。児玉さんお忙しいところ有意義な時間をありがとうございました!

地元カンパニー代表 児玉光史さん  https://gift.jimo.co.jp/contents/

児玉さん漫画 note.com/jimotocompany/

ブランディングからコミュニケーション、商品開発、スタートアップ支援までを手掛ける東京/上海を拠点とするクリエイティブ・ラボ  GRAND DESIGNさん https://www.grand-design-tokyo.jp

地元のギフトWORKS https://standgraph.com/works/134/

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